リヤカーをひいて、シフォンケーキを売る。病気を乗り越え、東京都青梅市を拠点に行商を続ける「ちゃんちき堂のてつ」こと久保田哲さん(50)が、初めての著書「うつ病のぼくが始めた行商って仕事の話」を出版した。「働き方は人それぞれ。自分なりのスタイルを作ることさえできたら、夢はかなう」。道中で数多く出会うといううつ病の人、社会に溶け込めずに苦しむ人々への、そんなメッセージが込められている。
著者名も「てつ」に
今月上旬、行商に同行させてもらった。地元ではすっかり有名人で、カウベルの音に気づいた住民らが次々と声をかけてくる。「あ、ちゃんちき堂さん」「てつさん、元気?」
「『久保田さん』とは誰も呼ばないでしょ」。だから、著者名も本名でなく「ちゃんちき堂のてつ」にした。「10年もやっていると、昔、お母さんと手をつないで来ていた子が、今は自分のお金で買ってくれたり。そんなときはめっちゃうれしいですね」
1日に5~6時間は歩く。荒…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル